会社法が施行され、
最低資本金制度の撤廃・類似商号規制の廃止・払込保管証明書制度の一部廃止等を含め
設立手続きが簡素化されました。
最低資本金制度の撤廃
創業促進の観点から、最低資本金制度が撤廃され、資本金1円から会社を設立できます。
旧制度においても、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」により、
1円で株式会社でも有限会社でも会社設立できましたが、
5年以内に最低資本金以上の増資を行なうことや、
各種届出・計算書類を経済産業局へ提出しなければならないといったしばりがありました。
会社法施行後は、最低資本金制度の特例としてではなく、
通例として1円会社が設立できるようになったということです。
もちろん経済産業局への書類提出義務はありません。
類似商号規制の廃止
類似商号規制下では、
同一市町村において他人が既に登記した商号について、
同種の営業について登記することができませんでした。
しかし、この規制は、企業活動の広域化につれ合理性が低下しているとの指摘がありました。
また、「同種の営業」を登記事項である「会社の目的」で判断していたため、
登記実務において語句の使用が厳格で審査に時間と手間がかかると指摘されていました。
会社法施行により、類似商号規制を廃止するとともに、
「会社の目的」の柔軟な記載が認められるようになっています。
旧制度下では、「会社の目的」について、抽象的で漠然とした記載は認められず、具体性が求められ、
また、法律や公序良俗に違反した記載や、営利性のない表現を認めない、厳格な姿勢でした。
現在、柔軟な記載が認められるようになったとはいえ、
「会社の目的」は定款・登記事項証明書に記載されます。
曖昧な表記では、会社設立後の許認可申請や商取引に影響がないとも言い切れません。
会社の目的の表記は慎重に検討しなければなりません。
払込保管証明書制度の一部廃止
金融機関による払込保管証明書の発行には4~5日かかったり、
そもそも半年以上動いている口座でないと発行自体が難しいなど時間のかかる手続きでした。
払込保管証明書制度の一部廃止により、
預金通帳の写し、つまりコピーと定型書面を合わせ綴じることで、
払込のあったことを証明し添付書類とします。
ちなみに、金融機関に払込保管証明書を発行してもらうのに、
資本金1000万円の株式会社で約25,000円、
資本金300万円の有限会社で約7,500円の手数料が必要でした。
現在、発起設立の場合なら、
出資金の口座振込手数料と預金通帳のコピー代10円×必要枚数で足ります。
よくあるご質問
Q.株式譲渡制限会社とは?
A. 会社が発行するすべての株式について、
その株式を譲渡することにつき会社の承認を要することが定款で定められている会社のこと。
つまり、株式譲渡制限会社は、株式の譲渡を不自由にすることで、
株主が自由に入れ替わることを制限している会社のことです。
会社法では、株式譲渡制限会社に該当するか否かによって、異なる取扱いを設けています。
設置する機関(取締役会、監査役等)
取締役の員数
取締役の任期
監査役の権限の範囲
などです。
Q.特例有限会社とは?
A. 特例有限会社の「特例」とは、
有限会社制度の主要なルールの適用を受けることができるという意味です。
具体的には、
○○有限会社という商号はそのまま使用することができる
決算広告が義務付けされていない
役員の任期を定めなくてもよい
会社法施行前に設立された有限会社は、
特例有限会社となり、会社法の規定による株式会社として存続することになります。
つまり、法形式上は株式会社ではありますが、
実態としては有限会社のまま存続することになります。